魅惑の入り口 ~モンステラ編~

アグラオネマ本舗ご利用の皆々様、いつも大変お世話になっております。

2018年も残すところあとわずか

本年も多くの方々のご協力、お世話の元、無事年を越すことができそうです。

当店をご利用頂きましたお客様、何年にも渡ってご利用頂いておりますお客様へ深く御礼申し上げます。

来年も変わらぬご愛好のほどよろしくお願い申し上げます。

さて、当店の日常業務として、商品掲載、国内外の仕入れ、ご注文いただいた植物の発送、植物の育成、お客様とのやり取りが主な重要業務となりますが、そちらと同じくらい重要な事に、常に面白い植物の追求、作出、発見を行う事です。

本ショップを始めた当初から1貫しております事に大量生産品として植物を扱わず、常に植物の可能性を広げ、当方の琴線にまず触れるものをメインに取り扱い、紹介させて頂くという事です。

大量生産された植物が悪いというわけではございませんが、もう少し個々の植物に集中的スポットを当て、より深く掘り下げていく栽培もまた別の観点から面白いのではないでしょうか

量産された植物はお値段もお手頃です。

安い≒悪い植物 では決してないです。が、そこに数パーセントでもこいつが欲しい!!といったそれぞれの方のマニアな拘り(綺麗に育てる、植物のサイズを均一化にする等ではなく)がより広まってもいいなと感じております。

拘りの深い植物は色んな部分に制約があり(生産されないので見つからない、希少性が高い)、限定されてきますのでまず量産できない、労力がかかるので取り扱いが難しいことは確かです。お値段も当然高額になります。

人も植物も一期一会。ご満足頂ける植物を、1点1点お届けしたい。

来年も沢山の方へ喜んでいただける、永く愛培して頂ける植物をご提供させて頂きます様努めます。

タイトルにも挙げました今回取り上げる植物はモンステラです。

”モンステラ”は観葉植物の王様と言われるくらい流通し、世界的に知られております。

先述の通り、大量生産に乗る植物でモンステラは外せません。

ですが、当店で主に扱うモンステラは、全く真逆の少量生産です。

ホームセンターや園芸店でモンステラを購入されるお客様に対し、これから記述致します内容は必要ない、もしくは必要とされないものかもしれません。

ただモンステラも人間と同じで実は個体によって個性があります。

個性があるのに実際は全てモンステラ一括りで生産、販売されております。(1つ1つ分けるわけにはいきませんし、当然ではございますが)

モンステラには主にデリシオーサ種とボルシギアナ種の2種がマーケットに流通致しますが、どれも同じと見て栽培される方も非常に多いのではないでしょうか?これら2種の言葉をご存じない方が大半です。

確かに、好きでなければ全く興味を引かない内容です。

下記掲載致します文章、画像含め、ふ~んそうなの程度にご覧ください。
モンステラマニアの方には面白い内容かと思います。

大量生産される中で偶然出てきた、面白いモンステラのご紹介です。

因みに、下記記載の個体の殆どがデリシオーサ種です。デリシオーサ種は、ボルシギアナ種と違い大葉、太幹になるタイプで、主にモンステラを指すのがこのタイプです。

正に、モンステラの王道種です。

それでは、ご覧ください。

モンステラ・デリシオーサ種の穴あきが異様に多いタイプ

穴あきが多いと言っても、デリシオーサ種は大株になると大抵穴あきが増えます。が、これは別格です。

画像の個体はショップ販売用に掲載致しました事はございませんが、一部マニアな方からのご要望で、今まで幾度となくカット、少しずつ増やして出している株。それ故大分小さくなりました。

これの何倍ものサイズ葉をつけて、穴あきが更に強烈になります。葉の形、広がり、穴あきの芸術性。どれをとってもパーフェクトな個体

モンステラの穴あきに関しては、雨風を通して葉を破れなくするためやその他諸説色々ありますが、未だ解明されていない謎です。
このミステリーさもモンステラの魅力です。

因みにモンステラとはモンスター(怪物)を意味する語源から来ており、その奇怪で迫力ある姿から由来します。

こちら1見普通のデリシオーサ種なのですが

私の手と比べても案外小さいサイズ葉個体

矮性(一般的に大きくならないタイプ)とまではいかないのかもしれませんが、当方では超良形の矮性葉個体として管理しております。

因みにこちらの個体で実生から6年です。(個人の方の委託生産品となります)

実生して2年目で何か違うぞという事で分けたもの。何といいますか、葉の形状、穴あき全てにおいて異様です。

年何万~何十万というモンステラを見ていると、その違いが直ぐに分かります。そうです、鍛えてます(笑)

何はともあれ、一般に流通するデリシオーサ種の葉の大きさと比較すると、この年数でこのサイズはかなり小さいです。

矮性は強くお勧めさせて頂きます。次のステップとして新たに進めているタイプ物で、メリットはスペースを取らないことです。

通常のデリシオーサ種に比べ葉(草体)が小さい分、住宅事情によってスペース確保の難しいご家庭でも置いて楽しむことができます。

見た目のフォルムもギュッと締まって良いです。デメリットは、大きくなるまで年数がかかるので、生産率が極端に低くなること

年に出せる個体数はたかがしれてます。

こちらはデリシオーサ種のザ・矮性タイプ

先述の個体よりも若干細い葉です

これも顔が面白く、成長がすこぶる遅いです。年3,4枚出たらいい方です。

こうした植物が高価な理由に、まず数が少ない事が挙げられますが、それと同じくらい高価になる理由として”成長の遅さ”にあります。

通常であれば1,2年で出荷できるものを、その倍以上年数かけないと同じ製品として仕上がらないのです。

その間重油を焚いて、スペースを確保して、尚且つ管理育てる必要があります。高価でならざるをえない理由が当然あるのです。

大きく成長するとこんな感じになります。少ない矮性の中にも程度(サイズのレベル)があり、本当に名の通り小さいもの~デリシオーサにしては小さい葉等様々

それぞれのお好みによってチョイスされるか、あとは見た目の判断も重要です。 

ここら辺のレベルになってきますと皆個性的ですので、見た目重視は非常に大きなポイントかと思います。

当然、ここに紹介致しますモンステラは全て超レアものであり、見た目も貴重度合いもピカイチ。超厳選品です。

こちらもデリシオーサ種の矮性で入手したもの。当方の実生品ではございません。

1見ボルシギアナ種の様ですが、デリシオーサ種という事です。茎も細いのですが、特徴として葉の硬さが尋常でないくらい硬いです。

プラスティックまではいきませんが、少しパキパキ感を感じます。

矮性タイプに見られる、硬質感です。矮性は通常の葉の大きさをギュッと縮めたイメージです。よって密度が濃くなり、肉厚硬質になるものが多く、これも通常種には見られない、質感の部分でも魅力です。

画像では伝わらない、その植物に触れて初めて味わえる楽しみの部分です。

こちら現在アップ中の矮性デリシオーサ実生個体

実生から一度もステムカット無です。この個体の特徴は葉先で、全葉先に馬の口の様な突起が出る個性的な1品

幹も節間が詰まりに詰まって独特のフォルムを醸し出します。

売約されない場合、いずれカットして掲載から外しますので時期のものです。

ある程度のサイズになりましたら親木とします。

こいつも、個性的で滅多に出ないタイプ

モンステラ・ビクトリーと称される、矮性デリシオーサ種の1つ

こちら初めボルシギアナ種かと思いました。

ある程度のサイズになるまで伸ばして育てたのですが主茎は太くならず、上へ立ち上がって自立するのが特徴です。

矮性で、葉は非常にコンパクトかつ硬質です。

当然これも成長遅いです。

こちら奇形デリシオーサ

葉は柔らかく肉厚 全体の組織が柔らかい印象で全体でモコモコボコボコしております。

過去3株、当方の手元で保有し、2株売約頂きました。全て株分けされたクローン個体ではなく、実生から個別に出現した3株。

因みにこうした特殊個体は掲載前に殆どが売約されます。

ずっとご要望を頂いており、見つかればご紹介させて頂いておりますので、皆さまの眼に映る前に旅立ってゆきます。

こちらは親木にする予定です。異様です。

こちらは極矮性タイプで成長がピカイチに遅いデリシオーサ

大型園芸店で偶然見つけ、大型園芸店(専門店)で唯一私が購入したモンステラ

最初は他何十鉢と並ぶ普通のモンステラと同様に見えたのですが、全体が面白く何か違うなと思い、下葉からずっと見て、これはと思い購入したもの

丸2年管理。期待通り丸葉の変わり者です。

葉1枚の大きさは私の掌広げたサイズに収まるか少し小さいくらい

未だ穴あき見られないのですが、一番新しい葉に変わった特徴(エッジに波)が出てきてます。

これは実生3万粒の中から1株、出てきた変わり者

これで実生1年半です。まだ幼苗ですが、細い!!

デリシオーサとはもはや思えない細葉タイプのデリシです。

下葉から全葉こんな感じです。

将来楽しみな1品

 

こちらも販売中

超丸葉のコンパクトタイプ

実生の中で選別したもので、本当に良い、目の引くものは例え何万株あっても分かります。

これも出そうで出ない貴重品 因みに、こちらに掲載しておりませんが”福助””と名がついた丸葉デリシオーサの名品ありますが、下手するとこちらの方がより丸いかもしれません。
福助の名前は移行できませんが、こちらも名前を付けたいくらいの丸!

これも委託品

日本国内で年間何十万、何百万粒蒔かれるのでしょう

これが出たナーセリーは何十年もデリシオーサ種の実生を行ってきて、このタイプが出たのがたった1株という事

つまり何十~何百万粒の内の1つ。という事になります。

特徴としてはとにかく丸葉。で奇形葉です。その上超安定の散り斑ないし、派手斑が全葉乗ります。

 

こちらその幼苗

ご覧の通りボコボコした円盤型葉に安定した斑入りを展開します。

まず消えない安定斑。キメラではなく、遺伝子に刻み込まれた斑入り

モンステラ・デリシオーサ UFO

超貴重な個性バリバリの1品

デリシオーサ種の細葉レアタイプ

こちらも委託品 コレクターから来た個体です。

現在カット、増殖中
もはやデリシオーサらしい葉ではございません。素晴らしく優美で個性的な1品

こちら続いて斑入り

デリシオーサ種を実生すると、数千から数万にほんの数パーセント斑入りが出現します。

モンステラには白、黄斑存在しますが、どちらも確立低く、出ても大きく育つまで確実に出ている個体は超希少

現在当店に黄斑の奇形、通常タイプの実生デリシオーサ斑入りを数個体アップしており、加えてカット無という素晴らしいものがございますが、先述の通り、相当な確率で出た激レア個体達です。

画像の個体はまだそこまで成長していない、いわば幼苗ですが、白斑個体

当店で販売しておりましたが、もう少し管理しようとアップを取りやめました。
(結構この様な事がございますので、お求めの方はどうかお早めに(苦笑))

これも安定すれば非常に貴重な個体です。

海外から持ち帰った黄葉デリシオーサ

散るのではなく、固まってのぺっと乗ります。

一旦無理な植え替えをして、その後根が出たものの当ててぐらつかせてしまい。

調子悪いまま秋を迎えたのですがようやく完全活着したようです。

これから、です。

こちらボルシギアナです。

ボルシギアナの白斑なのですが、ハーフ(葉の半分に白斑)の出やすい選別個体

頭を飛ばし、その良い部分を販売致しましたので、これから養生です。

予約制で事前にお伝え頂けましたら分けて販売も可能です。

お気軽にお問合せどうぞ

強烈白斑個体

素晴らしいですが訳あって現在完全非売品です。

こちら福助同様モンステラ選別の名人、池田氏によって作出されたデリシオーサ白斑

尺鉢に、茎の長さ3メートルを優に超える大株をトラックに積んで苦労して持ち帰った記憶のある、想い出深い1品

安定して白斑を展開します。

そこから出た変わり斑個体

白斑が少し入り込んでますが、シェードがかった斑が全体に入ります。
こちら無事お嫁に行きました。

殆どが、出た子も親と同じ表現斑となりますが、この株は唯一違った斑入り仔を出したもの

こちらも池田氏選別品 グリーンゴーストで販売されている個体と同じです。

成長は遅く、性質も若干弱いデリシオーサ黄斑

穴あきも見られますが、歪な奇形系葉です。

この奇形系は良いと感じております。奇怪な姿がよりこのモンステラの良さを引き立てる事。

摩訶不思議なフォルムは見るものを惹きつけ、その魅力に引きずり込む力があります。

モンステラは全てそうなのですが、贅沢なスペースを確保できればこれほど優雅な植物はございません。

海外のホテルや公共施設でストレリチア系、モンステラはド定番な観葉ですが、洒落た大鉢に植え込まれ、贅沢に空間を支配している様は圧巻です。

その優美さは葉を眺めるだけで、こちらまで贅沢なゆったりとした時間を堪能できます。

時たま柔らかな風に揺られ、空間をあの大葉がモビールの様に流れます。

ここまでざっと数タイプのご紹介

まだまだこれはほんの一部です。モンステラだけで恐らく100タイプほどはあると思います。(正確に数えきれてませんが少なくともこれくらいはあります)

ですが多すぎて掲載しきれません。最近はスペースの確保が最重要項目となっております。

今後も積極的に実生、選別していくにはこうしたスペースの確保、労力が欠かせません。ですが惜しむ気はございません。

何年も、何十年もかけて続けないことには、本当に納得する、心惹かれる”良いもの”は出てこないと実感しているためです。

どれだけ続けても、出ないときはでないのがまた辛いのです。採算合いませんが、夢を見てまた先を進みます。

園芸は、植物の世界は奥深いです。

今後も当サイトにて少しずつご紹介させて頂きます。

モンステラは実に奥深く、今後も色んなタイプをかけ合わせて面白いものを作出予定です。

現状のモンステラの概念を覆す個体を目指してご紹介することが目的です。

植物は流行り廃れが激しいですが、これは日本の、個々のコレクターの数が圧倒的に少なく、また流行に左右されている結果と考えます。

近年パキポディウムが右から左に流され、アガベも同様に目立ちます。

毎回昔から不思議に思いますのが、何故こうも皆さん欲しい植物が同じなの?という事

日本人特有なのかもしれませんが、海外の私の知るコレクターは真逆で、自ら好きなものを流行り廃れなくセレクトし、独自の世界観で栽培します。

よって品種が偏りがちですが、その奥の深さ、知識量は半端ないのです。流行が去ってもお構いなし、ある種の流行が来ても興味なしです。

先程の内容ですが、売れる植物というのはその植物が魅力的だと思います。ただこうも皆欲しいものが同じという事は、やはり流行による一時的なものなのかなと、それを本当に欲して欲して手に入れたものではない様に強く感じます。(勿論、本当にその時欲しいので購入するのですが、それが何年、何十年続くのか?です)

ディッキア、パキポディウム、アガベ等々

これが一体どこまで続くのかです。

それでは何だか虚しく感じるので流行に左右されない独自の植物。強靭なインパクト、ストーリーをもって永く語れる植物達を当店では選んで今後もご紹介致します。

その前に植物をセレクトされる趣味家の方の心を変えるという言い方はおこがましいですが、少しでも変化があれば、少しでも興味を持って頂けたら本望です。

2019年もブレない植物を、底なし沼の様な奥深さを持った植物達をご紹介させて頂く事に尽力致します。

2019年もアグラオネマ本舗をどうぞよろしくお願い申し上げます。

2018年も残り僅かではございますが、皆さまにとって良いお年となる事願います。

                                                          Aglaonemahonpo

追記ひとりごと:

映画の話です。皆さんブレードランナーという映画をご存知ですか?

1982年公開の本編は、舞台が2019年の当時にしては少し先の未来のお話

下記Wikipediaから一部抜粋

21世紀初頭、遺伝子工学技術の進歩により、タイレル社はロボットに代わるレプリカントと呼ばれる人造人間を発明した。彼らは優れた体力に、創造した科学者と同等の高い知性を持っていた。

環境破壊により人類の大半は宇宙の植民地(オフワールド)に移住し、レプリカントは宇宙開拓の前線で過酷な奴隷労働や戦闘に従事していた。しかし、彼らには製造から数年経つと感情が芽生え、主人たる人間に反旗を翻す事件が発生する。そのため、最新の「ネクサス6型」には、安全装置として4年の寿命年限が与えられたが、脱走し人間社会に紛れ込もうとするレプリカントが後を絶たなかった。彼らを判別し見つけ出した上で「解任(射殺)」する任務を負うのが、警察の専任捜査官「ブレードランナー」であった。

とまあこういった内容なのですが、監督リドリー・スコット総指揮の元、俳優陣の演技、世界観、音楽全てにおいてカリスマとして語られる映画なのですが、その拘りというのもやはり半端なく凄かったようで

監督の拘りにより大幅な撮影期間の延長、予算オーバーが生じ、更に演者との間でも軋轢が生じたようです。個々のセット見ても納得。後の映画、アニメにも多大なる影響を与えました。

相当過酷な撮影であったという事で、一時は取りやめになりかねない状態であった本作ですが何とか完成、映画化され

ただ当時斬新すぎたのもあり、上映されて月日が経ち、少しずつ理解され始めてコアなファンを獲得していきました。

実際上映された1982年当初、本作は受けがあまりよくありませんでした。

時代が、映画に追いつく感じです。

何度も好きで観続けている、これからも観るであろう映画の1本ですが、毎度この世界観にやられます。

ブレードランナー2049は本作のオマージュで悪くはなかったのですが、当然ながら本作は抜けません。

まだご覧になられたことのない方はお時間あられましたら是非とも
来年は2019年、ブレードランナーと同じ時代の年なので少しご紹介まで

改めて、発信するものは違えど”良い”と思えるものを純粋に追及していきたいと思う今日この頃

心の底が震えないものはやりたくない。改めてそう感じさせて貰った映画です。